楽しけり

新規が伊野尾沼で右往左往しています

続 「心のアルバム」髙木くん。

このところずっと考えていたのですが、辛い時悲しい時にはやはりJUMP の曲を聴くことは出来ないんです。ワタシの中ではそう位置づけられています。急に何を言い出したんでしょうね。まあ聞いて下さい。髙木くんは、アルバム「DEAR.」のシークレットトラックの中で、こんな事を言っています。


「僕はですね、音楽は心のアルバムだと思うんですよね。昔の曲を聴いて、その時の楽しい恋を思い出したり、悲しい恋を思い出したりとか、あとは部活で一生懸命頑張ってる時を思い出したりとか。だから、JUMPの「DEAR.」の曲も、これから先みんなの心のアルバムになったら嬉しいな、と思います」


あの髙木くんの声で、真摯に真っ直ぐ伝えようとしてくれているのですが、いや、本当にそうですよね。音楽って、まるでタグ付けされるかのように、思い出だの、聴いていた時の空気だの、色んなものが結びつきますよね。冬に聴き込んだ曲は冬の匂いが染み付いているし、辛い時に沢山聴いた曲はその辛さまで蘇らせてきたりします。



昔、私がもう少し若い頃、父が休暇を過ごしていた田舎の家で倒れました。生きるか死ぬかという状態で、しばらくはその土地の病院から動かすことも出来ませんでした。急遽、母と入れ替わりで重い病の父と二人きり、その土地で過ごすことになりました。余りにも田舎だったのでホテルなどもなく民宿に泊まり、朝になれば病院へ向かい、一日病院で介護をし、一人見知らぬ土地の食べ物を食べて慣れぬ部屋で眠る。たったそれだけのことが、もしかして今ならそこまで思わなかったかもしれないですが、若くぼんやり生きてきたその頃の自分には、心細く不安で押しつぶされそうな毎日でした。今でもその冷んやりとした畳の感触、床の間にぽつんと置いてあった電源を入れることもなかった小さなテレビの佇まいを思い出します。その時に、繰り返しずっと聴いていたのが、スピッツのアルバムでした。

父は、少し回復してしばらくして東京の病院に移ることが出来、亡くなったのもそれから随分後のことです。それでも、私はだいぶ長い間、スピッツの曲を聴くとその時の気分が蘇ってしまい、楽しく聴くことが出来なくなってしまいました。スピッツには、何の責任もないというのに。

それほどではなくても、悲しい記憶と結びついてしまった曲はいくつかあります。ただ年月とともに、だんだんとその記憶も風化し、もちろん、既にスピッツの曲とも和解することが出来ました。「めざましテレビ」のテーマソングがスピッツに決まった時、今で良かった、と安堵の溜息をついたことも覚えています。

もちろん、JUMPの曲にも思い出が染み付いています。それほど、ドラマティックな生活は送っていないので、主には季節の空気の匂いや気分がくっついていて、例えば「OVER THE TOP」を聴くと、冬の匂いと、「ピーチガール」に向けてドキドキしながら過ごした時の気分が蘇ります。少しずつ雑誌の露出が始まり、ヒット祈願の桃のイベントなどがありましたよね。春からは雑誌祭りが本格化して、あの頃は死ぬほど映画雑誌を買ったものです。そうか、たった1年前ですね。


そんな記憶なら結びついていて良いのですが、不安でたまらない時、体の具合が良くない時、とても落ち込んでいる時などはその時の気分をJUMP に染み込ませないよう、注意深く気をつけてJUMP の曲を聴かないようにしてしまいます。もしかしたら、辛いときこそJUMP の曲を聴いてファンに元気になって欲しいと、JUMP 君たちは思っているかもしれなくて、申し訳ないような気さえします。でも大切だからこそ、そんな時は聴くことが出来ないんだ。

でもね、普通に元気出したい時は聴きますとも。仕事が忙しくてヨレヨレになって、やっと職場の建物を出たら、すぐさまイヤホンを取り出して、JUMP の曲を耳に流し込み、ぷはー今日も働いたなーって、1日の終わりに湯船に浸かった時のあのぷはーに近い心持ちになっていますし、あー家事めんどくさいなーなんて時に、JUMP の曲に助けてもらって、重い腰を上げたりもしています。そうやって日常を共に過ごす大事な曲たち。楽しくて可愛くて綺麗で、自分の中で「良きもの」として位置づけられているもの。心のアルバムの中の楽しかったり大切な日常のページにある曲たち。そうやって考える時、いつも髙木くんを思い出します。


やっぱり、音楽って「心のアルバム」なんですよね、髙木くん。


ワタシにとって、JUMPの曲とは朝に夕に聴くものでありながら、いつまでも綺麗なところに置いておきたい存在です。そして、だって「心のアルバム」なんだから、髙木くんが言うようにねって何度でも考えてしまいます。


去年と同じこと書いてしまってごめん、髙木くん。ちゃんと、ヤンチャも野田大地くんも、記憶に残ってます。そしてやっぱり、髙木くんが真面目に伝えてくれる言葉が大好きです。ベイジャンで、「申し訳ないけど、ラクなダイエットはない」って、細かく自分のダイエットの様子を教えてくれファンのリアクションがモチベーションになったと語った時も。FC動画で「友達は作ろうと思ったら出来ないからさ(略)君は本当にいい子だから(略)」って不器用そうに一生懸命言った時も。何だかいつまでも心に残るんですよね、髙木くんの言う事って。「君は本当にいい子だから」なんて、オトナになればなるほど決して言われない言葉だから、余計にいつまでも心に留めて、飴玉のように繰り返し口の中で転がしてしまいたくなります。


ワタシにとって髙木くんとは、真っ直ぐに言葉を伝えてくれる人(その上、見た目も声も男前な人)。


ますます忙しくなりそうな28歳の髙木くん、お誕生日おめでとうございます。良き一年になりますように。