楽しけり

新規が伊野尾沼で右往左往しています

「牡丹灯籠」のように切ない。

宮沢りえ豊川悦司主演の「青春牡丹灯籠」というドラマを御存知でしょうか。夏になり、幽霊やらお化けの話が上がるようになると、ふっと思い出す作品です。大元は中国明時代に書かれた怪異話だそうですが、落語になり歌舞伎になり芝居になり、と多分誰でもその名前くらいは知っている有名な怪談「牡丹灯籠」。これを、アングラ演劇のレジェンド唐十郎が脚本を書いたドラマで世界観が独自で美しいのです。このオタクもだいぶ経ってからの再放送で見た記憶がありますので、御存知の方ももしかしていたり…しませんかね。細部はすっかり忘れてしまいましたが、怪談というよりは、美しく儚い恋の話であり、泥に汚れたもう実はこの世の者ではないお露(宮沢りえ)の足を濡らした手ぬぐいで大事に大事に拭う新三郎(豊川悦司)、というシーンを筆頭にせつないエロティシズムが漂う作品です。せつなくてドキドキする!と夢中になって見た思い出。

何で急にこんな話を始めたかと言いますと、7/29のらじらーでの伊野尾さんの口説きを聴いていたら、お化けとの切ない恋の話が語られていて、あぁ牡丹灯籠だこれ、となったからです。あのまま、伊野尾さん得意のややエロ方面でキマッていたら、完全に切ないエロティシズム漂う怪異噺になったはずなのです。なのに「チュっ☆ キス!で…よ!」とか言うからな 笑。勝手な憶測ですが、伊野尾さん、この日は最初から、最後はちょっとおちゃらけて、やや負ける、という目論見だったのではないかと。というのも、光くんの初の5連勝がかかっていたからです。さすがに光くんの出来によるところもあります。でも、この日の光くん、非常に良かった!だから僅差で負けることを目標としてやってみたら、想定以上に噛んだ!というところでは?このオタクも伊野尾担ですが、心置きなく光くんに投票しちゃいましたもの 笑。という勝手な想像はさておき。(本気で負けてたらゴメンよ)



伊「君、お化け、なんだよね? だからさ、いつも僕のおうちにいてくれて、ずっと一緒にいるよね。でも、僕は寂しい。だって、君に触れることは出来ないんだから。どうしたら、君に触れられるんだろう。あ! あることをすると君に触れられるんだ。」


この後、かっわいく大ゴケしてしまうのですが、その前の部分がもう映像が思い浮かぶようなんですよ。そっと触れてみようと手を伸ばして、触れられなくて切ない顔をしてゆっくりと手を自分の方に戻す、その時の指の動き。そっとキスして、不安そうに触ってみて、触れる!抱き締めることも出来る!と大喜びする無邪気な笑顔。どうです、見てみたくないですか。でも、怪異噺がハッピーエンドで終わるわけはないので、最後はサラサラと砂が風にさらわれるように、彼女の姿はなくなってしまうんですね。「青春牡丹灯籠」では残されたしゃれこうべを新三郎がかき抱いて嘆き悲しむのですが、伊野尾さんには胸の前で砂を握りしめて泣いて欲しさもあります。

そしてもちろん、伊野尾さんが幽霊だとしてもハマるだろうなと思います。


「お化け」。妄想の捗る、夏にぴったりな良いお題でした。


(らじらー 2017.7.29)


ちなみに(話が終われないオタクですまぬ)、「青春牡丹灯籠」は眉毛も重要な鍵となっていて、新三郎がお露の眉をすーっと指先でなぞる場面が確かあったのです。(記憶捏造の可能性もなくはない) 眉をなぞるというだけのことで非常にゾクゾクした思い出が。伊野尾さんが指先ですーっと眉をなぞるところを想像してみよう。はい、息の根止まりましたね。今度は自分が冥界行きです。おあとがよろしいようで。